JSK通信

日本の今の豊かさに感謝しよう!

                                               代表取締役 上能 喜久治

日本の今の豊かさに感謝しよう!

 私が子供のころ、農家であった我が家はただただ寒かった記憶があります。毎年、冬になると手足や耳にしもやけができました。手や足は赤く腫れあがり、耳にはかさぶたができました。栄養状態も悪く、火鉢で暖を取っていました。水仕事が多い母や祖母の手はあかぎれが当たり前のようになっていました。昼間に摘んだパセリを夜なべで8人の家族全員で束を作り、100束を一つの箱に入れて市場に出荷していました。農耕牛一頭とニワトリ30羽の世話をするのが私の役割でした。畑に行って雑草を刈り取り、飼料店で買ってきたフスマととうもろこしに残飯を混ぜて餌にしていました。 毎朝、そのニワトリが産んだ玉子をとるのが楽しみでした。冷蔵庫もなかったのでもみ殻の中にその玉子をおいていました。
 やがてアルミサッシとエアコンの普及のおかげで我が家も随分暖かくなりました。バナナと玉子が高級品であった時代から見れば食卓も豊かになりました。その豊かさが当たり前になってくると人間は今の豊かさが随分と昔からあったように思います。しかし、この日本もつい最近まで、つまりこの私が子供のころまで決して豊かではありませんでした。いや、人類誕生からつい最近まで何億年と人は飢えと寒さに耐え忍んできました。いま、暖かい部屋でおいしい食事がいただけること、これは何とすごいことでしょうか!何とすばらしいことでしょうか!
 しかし、いまこの地球上でも多くの人が飢えと寒さに耐え忍んでいます。いま、この時代にこの日本にいること、それだけで最高に幸せなことです。親や先祖が大変な思いをしていまの日本の豊かさを築いていただきました。このことに対し、今を生きる私たちは深く感謝するとともにこの豊かさを子供や孫に引き継いでいかなければなりません。

謙虚さと感謝の心を

 北海道の夕張市が財政破綻しました。EUのギリシアも破綻寸前です。つまり国家も市町村も会社も人生もしっかりと運営していかなければ破綻をきたすのです。「盛者必衰のことわりをあらわす」と平家物語にもある通り、繁栄や豊かさは長続きしないのです。“すべての道はローマに通ずる”と言われたローマ帝国もチンギスハーン率いるモンゴル帝国も600年間栄えたオスマン帝国も永遠ではありませんでした。ましてやあなたが経営する会社は今後、たった10年でさえ続くという保証は何もありません。今日まで存続できたことに感謝するとともに創業から今日まで多大なお世話になったお客様や取引先・社員や商品・機械・社屋などに心から御礼を言って下さい。経営者であるあなたのまわりの人・物に対する感謝の心があなたの人生を豊かにし、あなたの会社の存続を確かなものにします。