JSK通信

営業利益と経常利益

代表取締役 上能 喜久治

大事なのは粗利益額であり粗利益率だ!

 

 ある女性経営者から次の質問をいただきました。
 「私が勤務していた会社の社長から、営業利益の重要性をいつも聴いていました。ところが先日、受講したセミナーの講師が経常利益の大切さを話されていました。いったい営業利益と経常利益のどちらが大切なのでしょうか?」

 その問いに対して、私は次のように答えました。
 「損益計算書には5つの利益があります。つまり、  
  ① 売上総利益(粗利益)  
  ② 営業利益
  ③ 経常利益
  ④ 税引前当期純利益
  ⑤ 当期純利益
です。売上から原価を控除した①の売上総利益(粗利益)を上げないと経費を少々切り詰めたところで②の営業利益以下の利益に及ばす影響は知れています。つまり、如何に粗利益額を増やすのか、粗利益率を高めるのか、が重要になります。

 そのために2つの方法があります。
  ① 売上を上げる
  ② 原価を下げる
 この2つの方法しかありませんが、それぞれには無限にやり方があります。売上を上げるには客単価を上げる、売上数量を増やす、得意先を増やす、販売方法を変える等のやり方があります。原価を下げるには早く支払う、仕入数量を増やす、仕入先を変えてみる等があります。」

 

支払期日を早め、仕入量を増やした結果・・・

 

 当社は関連会社で保険調剤薬局を10店舗経営しています。厚生労働省が定めた薬価があり、薬ごとに販売単価が決まっています。従って、薬で粗利益率を上げるには原価を下げることしかありません。原価(仕入金額)を下げるには仕入量を増やし、仕入先に対しての支払期日を早めること、そして仕入先の検討等でした。当初、月末締で翌月末に10ヶ月手形で支払っていたのを、大変な痛みを伴いながら月末締の翌々月末の振込での支払いに変更しました。また、店舗数を増加させ、それに伴い仕入量も大きく増えました。その結果、原価を下げることに成功し粗利益率は大きく改善し、営業利益や経常利益は更に大きく伸びました。
 あなたの会社でどうすれば粗利益額が増えるのか?どうすれば粗利益率が上がるのか?を考え、その改善に着手して下さい。粗利益の改善があなたの会社の収益性を高め、財務体質の強い会社にして行きます。