JSK通信

その時、どうする?

代表取締役 上能 喜久治

 

明けましておめでとうございます。

 

 会社や病院・学校等を経営していて大きな岐路に立ち、どちらにすべきか、判断をして決断しなければならない時があります。そのような時にどのような考え方やどのような基準に基づいて判断すればよいのか、私の経験などからお伝えさせていただきます。

 

  1. 銀行に借入申込をした際に、親の自宅を担保に提供してほしい、と言われた時

     私の自宅もありましたが、まだまだ住宅ローンの借入残高が多く、担保余力もなかったので全く担保設定をされていない親の自宅を担保提供してほしい、という銀行からの提案でした。当社の資金繰りを考えれば、どうしても借入をしなければならない状況でした。しかし、私が税理士として何度か次のようなケースを見てきました。親の自宅を担保提供したものの、その後、業績が悪化し、結果として親の自宅が競売にかけられ、手放さざるを得なかった事例です。

     「事業というのはよい時ばかりではない。当社の業績が悪化して担保提供した私の親の自宅が取られてしまえば私は死んでも死にきれない。」と銀行の支店長にお話しして親の自宅を担保に、という提案をお断りさせていただきました。当然、借入はできない、と思っていたところ、その数日後、支店長から電話をいただきました。「今回は担保なしでご融資させていただくことに致しました。親を想い、親のことを案じる心が今回の決定に繋がりました。」と言われました。銀行の本部の融資担当者も支店長もみんな人の子です。借入先の経営者の人として親に対する想いがわかる銀行と取引すればよいのです。

  2. 支払った生命保険料が経費にならずとも・・・

     私の母が70歳のとき、母が社長をしている会社で生命保険に入ろう、として生命保険の営業の人からお話を聞きました。「90歳定期保険をお薦めします。90歳まで保障があり、その保険料は最終的に全額経費になります。」を言われました。しかし、よく聴いてみると90歳以上長生きすれば保険金は一円もない、とのこと。95歳でも100歳でも長生きしても必ず保険金をもらえる商品はないのか?」と聴くと「終身保険がありますが保険料は全く経費にはなりませんよ。」ということでした。

    90歳以上長生きすれば損、というような保険には例え経費になろうとも入らず、終身保険で契約しました。結局、母は93歳まで長生きしました。

     この二つの事例から経営判断する場合、その基準は「損か得か」ではなく、その判断が「人の道に沿っているのか外れているのか」です。ビジネスの世界でも血の通った経営をすることがあなたの会社の繁栄に不可欠となります。

     

              今年も皆様のご健勝と貴社の益々のご繁栄を心から祈念申し上げます。